権田さんすう数学教室・作文コースでは、
「何を書いてもOK! 何を書くかは自分で決めよう」
これを中心において子どもたちに作文してもらっています。
(もちろん、人を傷つけたり不快にさせるような文章は禁止ですが。)
例えば前回の文集を開きますと……
・絵の好きなおじいさんを主人公にした物語
・野菜を食べない子の物語
・大切な飼い猫のことを書いた作文
・マラソン大会でのこと
・我が家の庭の紹介
他にもいろいろありますが、物語がやや多いようです。
今回は、どうして「何を書くかは自分で決めよう」を大切にしているのか、お話しします。
まず、基礎的な文章力は、ジャンルを問わず、書けば書くほど向上します。物語でも作文でも詩でも、です。
もちろん物語で良く伸びる能力、作文で伸びる能力というものはありますが、子どものうちに身につけておくと良い文章力は、作文と物語とで大きく差が出るわけではありません。
(物語で身につけた文章力は、作文に生かすことも出来ます。逆もまたしかり)
教室で書くジャンルが偏っていても、真剣に書いていればちゃんと文章力は伸びるので大丈夫です。
むしろ怖いのは、あるテーマについて無理矢理書かせることで、子どもたちが作文嫌いになってしまうことです。
夏休みの作文で、書くことが嫌いになった子は多いのではないでしょうか。
書きたくないことを、書き方が分からないまま書かされ、さらに批評されるというのは、大人にとっても辛い事です。ましてや子どもなら、文章を書くこと全般に対して苦手意識を持ってしまいかねません。
それは子どもにとって、とても不幸なことです。
その子の可能性が、閉じてしまうわけですから。
子どもの頃に体育や音楽が苦手だった人は、大人になっても苦手意識のせいでスポーツや楽器演奏から離れてしまう傾向があります。
やってみればきっと楽しいだろうと思いつつも、「でも私は苦手だから……」と躊躇してしまうのです。
それと同じ事が文章を書くことに起こってしまうのは、作文教室として避けなければなりません。
むしろ作文嫌いになっている子に、本当は面白いんだって思ってほしい!
そこで、「これを書きなさい」はやめることにしました。
人によって表現したいことは違うのだから、自分が書きたいことを大切にしよう。
書きたいことを書いているときの子どもは、とても楽しそうです。
集中力を発揮して、30分以上も夢中になって書き進めることもあります。
以前、体験に来た小学生は、やっぱり作文に苦手意識を持っていて、最初は嫌がっていました。でも、大切なペットのことを書き出すと止まらなくなり、体験を終えて帰る際には「楽しかった」と満足げに笑ってくれました。
ポジティブな気持ちで集中しているとき、人間の学習能力は最も高まるそうです。
一から自分で決めて書くことが、実はとても効果的なんです。
ところで、創造性を育てるという点でも「自分が決めて書く」ことが大切です。
このことについては、またいずれ。